□■□ 夕焼け □■□
ミスフル 犬猿
「ちっ、すっかり遅くなっちまったじゃねーか、担任のヤロウ」
メンドーで時間のかかる仕事を今日たまたま日直だったというだけの理由で手伝わされた犬飼。
その結果、5時半を超えた今頃になってようやく帰り支度をするために校舎を一人歩いていた。
今からではどう考えても部活には間に合いそうにもない。
「日直は担任専用の小間使いじゃねー」
もう既に誰もいないので犬飼は一人廊下を歩きながら声を出して毒づいた。
「今から部活に出ても1時間も練習できないんじゃないのか?」
まぁ、それでも行くけど・・・。と少しだけ足の速度を速めて荷物が置いてあるままの教室へと向かう。
ふと、そう・・・本当にふと。
偶然、通りすぎようとした教室が何故か気になって足を止め、開きっぱなしの扉から中を見た。
そこには一人の人物がうつ伏せになっていた。どうやら眠っているようである。
放課後の人気のない教室に一人いるその人物から犬飼は目を離すことができなかった。
日が落ちかけて橙色に色づく日の光がその人物だけにまるでスポットライトを当てているかのような・・・、そんな感覚。
周りのモノは何も目に入ってこないような…、そんな錯覚を感じていた。
「う・・・・ん・・・・・・」
どのくらい時間が経ったのか、うつ伏せていたその人物が体を起こして伸びをした。
目が合う。心臓が高鳴った。
「あれ・・・犬?」
その声に反射的に体が動く。
「え?!おい、犬飼?!お〜い・・・・。・・・・なんだぁ?」
その声に止まることなく走る。
あいつが何でこんな時間にあそこにいたのか俺は知らない。
いつもウザイ位にころころ変わるあの表情が瞼によって伏せられた時、あんなに目を引いてしまうなんていう事俺は知らなかった。
でも・・・・。
そんな事よりも、何よりも走っている所為だけではなく高鳴っている自分の心臓とか、頭から離れないアイツの寝顔とか・・・・・・。
とにかく俺は俺自身の感情が分からなかった。
(辰あたりに聞いてみたらはっきりするのだろうか・・・?)
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[コメント]
「犬、猿への恋心に気付く」って感じの内容です。
しかしその後辰に相談するのはお勧めしませんよ犬飼さん(爆)
本編中猿は何故あそこにいたのか。
・・・一応居残りのつもり(だって眠ってるだけやったら誰かに起こされそうだし)
日向が気持ち良くてそのまま熟睡って線が有力かと・・・。
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